「別に私、弱いやつ殴って興奮とかしないし、そんな趣味ある訳じゃないからさ。むしろあんたたちの相手すんの、めんどくさくなってきたし…」

彼らの眉間にシワがよった。

何言ってんだ、この女って、今にも言いそう。


少し乱れてた髪を耳にかける。


「…簡単な話、これ以上痛い目にあいたくなかったらさぁ~」


ギロッと少し上の位置にある彼らの顔を、思いっきり睨んだ。


「―――さっさと私の前から消えてくんない?」


声を低くしてそう言うと、サッと全員廊下の端に寄った。

目の前に道が出来る。


うん、物分かりがよくて宜しい。


私は口元にうっすら微笑を浮かばせながら、堂々と廊下を進んでいった。