一歩踏み込んだとたん、横から振り落とされる鉄バットを視界のはしでとらえた。


「…違う」

あの七人じゃない。


サッと避けて、相手の顔面を殴った。

狙われたのが眼帯してる方じゃなくてよかった…。

目を隠してるせいで、死角ができている。

正面からの攻撃は避けれるけど、今みたいに不意うちできたら、さすがの私もヤバイ。

…気を付けなきゃなぁ。


「…デモ、やっぱりここのヤンキー達は甘いね」

喧嘩慣れしてたら、真っ先に私の弱点である死角をから狙ったはずだ。

なのに、狙わなかった。


「バカじゃないの?」


顔面を押さえていた相手が、悔しげに私を睨んだ。

デモ、襲いかかってこないのは、自分の力量と相手の力量の差を理解しているからだろう。


あれ、ここのグループはちゃんと部下の躾がなってる…珍しぃ~。

決まりとかルールが厳しいのかな?

めんどくさそぉ~…。


「うおおお!!」

「おっと、」

拳が飛んできた。

顔に当たる直前で受け止めたら、驚いた顔をされた。

…この人も、違う…か。


「ウッッ!?」

腹に思い切り蹴りを入れた。

運悪く鳩尾で、相手はそのまま膝を床につけた。


その後ろで何人かの男子(ヤンキー)が後ずさりした。

1、2、3…五人か。

倒せない数じゃないけど、時間の無駄だし、めんどくさいし…。

う~ん…。


「…あのさぁ。一つ言っとくけど、私別にあなたたちに用がある訳じゃないんだよね?」

そしたら、はぁ?って顔された。

…まぁ、そうなるよね。