しばらくして三人はこっちを向くと、ポツポツと話し出した。
―――話によると、三人が昇降口で話をしていたんだと。
「姫宮今日も可愛かったなぁ」
「黒髪も似合っていた」
「金髪も良かったよね~」
そしたら二人――レンとアオイが近づいてきて、
「その姫宮は姫宮 鈴(ひめみや りん)のこと?」
「おとなしく教えろ。そしたらなんもしねぇよ」
―――で、教えなかったらしい。
「バ、バッカじゃない?そんなことで…別に言ってもよかったのに…」
思わずそう言うと、一斗が眉間にシワを寄せた。
「そんなことじゃねぇ!相手は幹部だぞ!?」
「…幹部?あの人たちが?」
うっそ、マジで?
「知らなかったのか…」
「まぁ、興味無さそうだもんね」
う、…興味はないけど…。
昨日の七人を思い出す。
…じゃあ他の人も?
「…とにかく、次会ったら刺激しないように。あと、私のことは教えていいから。てゆうか聞かれたら教えて」
「なんでだよ」
「…はぁ、分かんないの?」
これだからバカはめんどくさい。
分かってよ、いい加減。
「…嫌なの、私のせいで誰かが傷つくのは」
「「「!!」」」
「分かったらホラ、さっさと保健室行ったら?」
そしたら真剣な顔になった。
な、なに?
「…俺たちもだよ」
「自分のせいで誰かが傷つくのは嫌だ」
「大切な人なら、尚更だね」
…ホント、バカじゃない?
真っ直ぐすぎでしょ、あんたたち。
…これ以上、傷つけさせない。