「……」

「……」


…ヤバい、めっちゃ見られてる。

めっちゃ視線感じる。


その視線の持ち主はもちろん、オレンジ髪の少年だ。


昨日会ったときも睨まれた。

正直なところ、そんな恨まれるようなことはしてない…はず、たぶん…。


(あぁ、見てる見てるよ…)

「…あのさぁ」

次第にイライラしてきた私は、なんで見てくるのか聞くことにした。

ツカツカ歩み寄って、少年の前にしゃがみこむ。

そして彼の目と鼻の先まで顔を近づけた。


「っ!?」

心底驚いたって様子の少年。

急いで距離をとろうとのけ反ったけど、ソファーの背凭れが邪魔をした。




「私、何かした?」


少年の顔が強張る。

その反応に、思わず眉をひそめた。

…怒ってるっていうより、これは……。


「……ごめんなさい」

スルッと意識するより先に言葉が出た。

「!?」

彼のクリクリした目が、さらに大きく開かれた。


でも私を見る瞳は驚きの他に、『恐怖』があった。


私はそれを確認してから、彼から離れた。

十分に距離をおいて彼を見る。


瞳はまだ私を捉えてて、警戒してるのがわかった。

恐怖の色は、まだ消えてない。


離れてみて気づいた。

この恐怖は、私に対してだけじゃない。

しかも、かなりの重傷だ。

深い傷だ。

一生治らないかもしれない、火傷。


友達か肉親か彼女か…誰につけられたかはわからない。


でもきっと女性だろう。




だって、彼は―――――