「怪我してるとこ、見ちゃった?」



トモがちょこんと、首を曲げながら少し笑って私を見る。

なんとも男子らしかなるかわいい仕草だと思った。



女の私より可愛い仕草なんじゃないかと思いながら、トモの質門に頷く。



「見んなよなぁ〜」


と、やっぱり少し照れている。




「・・・ひゃ!」


その瞬間トモに、おでこを軽く突かれ、なんかおでこがむずかゆくなった。




「ありがとうな、相原。大事に使うよ。」





私はトモに、絆創膏を何枚か渡すと、トモも受け取ってくれた。




「無くなったらまたあげるよ!!」




私がそう言うと、トモはハニかんで屈託のない顔をしてくれた。



「ありがと。」




「ううん。」



少ししてから、モリッキーが教室のドアを開けて入って来たので、モリッキーの一声で、だらだらと席に付かない生徒も、みんな渋々、席に付いていた。



朝の風景は、かったるく感じるけど、何故だかそうは思わなかった。




いつか、この風景も忘れちゃうのかなと心の片隅で考えたら、淋しくなった。




まだ、入学してはじまりだってのに・・・・




窓際のトモの方をちらっと目をやると、トモは机に、片手で頬杖を付いて、モリッキーの話をちゃんと聞いていた。




頭の中には、にこっと笑うトモの姿が浮かび上がった。





「放課後、学級委員のふたりは残れ〜!委員会あっからなぁー!」



えぇ〜!!



モリッキーは、トモと私に目配りをすると、宜しくな、とキリッとした濃い眉毛を浮かせた。



今日は、麦ちゃんと何処か行く予定だったのにな、・・・