5月22日。








今日はついてない。







だって、あんな会話を聞いてしまうんだから。













「北山さんとかいいよなっ!清楚だし!」



「皆川さんとかも守ってあげたい!みたいな感じするよなっ」



「あー、わかるわ〜」







放課後の教室。
他に誰もいないのをいいことに、私のクラスの男子が5、6人ほど集って話していて。





教室に忘れ物をしてしまった私は、入るには入れないでいた。





だってクラスの女子の話してるし。格付けされてるみたい。やだな、こういうのはあんまり聞きたくないよ。






北山さんは綺麗、皆川さんは可愛い。
でも実は皆川さんは女子に対してすごく冷たくて、男子にはコロッと態度を変える。








やっぱり男の人って顔で選ぶんだ。









「ケントはどう思うよ?」



「オレ?」






ドキッとした。






ケントは私の幼なじみで……私の好きな人。






小さい頃は何とも思ってなかったのに、どんどん成長するにつれてかっこよくなっていくケントに惹かれて、いつのまにか好きになってた。






今は同じ高校入って同じクラスになって、よく喋るし、よく登下校も一緒にする。





でもそれは家が隣だから。隣じゃなかったら一緒に登下校してるかわからない。






私は友達以上恋人未満な存在だと勝手に思ってるけど、きっとケントは私のことをただの幼なじみとしか思ってないだろうな。














ケントの気になってる女子、知りたいけど知りたくない。だけどやっぱり知りたい。





私はそっと耳をすませた。






「うーん、そうだな……」



「あっ、そういえばケントって橘さんと幼なじみなんだよなっ?」






橘は私。
まさか私の名前まで出るとは思わなくてびっくりした。






「そうだけど」



「いいなー!」



「は?」



「だって橘さん可愛いじゃん!なあ?」



「そうそう!小動物みたいにちっちゃくて、愛でたくなる」







だ、男子からそんなふうに思われていたなんて……!!




私は平均程度の顔だと思っていたけど、少しだけ自惚れていいのかな。




ケントの隣にいても変じゃないくらいには、なっているのかな。






ケント、なんて返すんだろう……。





ドキドキして、ドアに耳をもっと近づけた。






「実際のとこどうなん?可愛い系女子である橘さんとはなんもないのか?」






クラスのお調子者の濱田くんがいう。
なんてこというんだ、濱田くん!





そう思いつつも気になって。緊張で少し手が震える。






「はっ」







聞こえてきたのはケントの鼻で笑ったかのような声。







「可愛い?アイツが?冗談だろ」









ははっと笑うケント。








私は固まることしかできなくて。
























「えー、なんでよ。橘さん可愛いじゃんっ」



「なんでも。アイツを可愛いと思うとかどうかしてるわ、お前ら」







肩に重力がのしかかった。
動きたくても動けない。足が固まって、動いてくれない。






「アイツとは幼なじみ以外のなにものでもねぇよ。それよりもオレは北山さんとかの方がいいと思うぜ?」










目の前が真っ暗になるとはこのこと。











私は、失恋した。







相手に気持ちを伝えることのないまま、私の初恋は終わったんだ。