高校の入学式。

私は無事、私立天川学院に入学出来たのです。

天川学院は生徒数が毎年1000人を越える、いわば、マンモス校なんです。

成績も悪いし、何しろ、ろくに学校にも行っていなかったのに、

何故私が入れたかというと、

音楽科の推薦で、まぐれで入れたんです。

そんなわけで、なんとか、ここで上手くやっていこうと思ったのですが、

そうでした。忘れてたんです。

完璧に空気と化しているのを。

激しく落ち込むかも。

暗い考えしちゃダメ。

きっと、気づいてくれる人がいる......ハズ?

プロローグから既にエンドローグに流れちゃってる。

落ち着け、私。

自分からアピールすれば行けるかも。

そう。焦ったら台無しなんだ。

そんなことを考えてるうちに、

チャイムが鳴っているのに気づかず、

うっかり、遅刻してしまったのです。

勿論入学式はすっぽかしていました。

当然のことですが、HRが始まっているのにも関わらず、

私の存在は皆無に等しくて、

私が教室に入って来た時はホラー物でした。

2、3人の女子生徒がキャーキャー騒いでいたり、

男子なんか、スマホを片手にドアが閉まるところを狙っているようです。

ゆっくりと閉めると同時に阿鼻叫喚の声が、

私の耳をつんざきます。

先生の注意で、やっと静かになり、

自己紹介が始まりました。

亜住 華穂さんから始まり、

次々と自己紹介が進んでいくにつれ、

私の心臓もどんどん勢いを増します。

そして、前の戸塚 葵くんの自己紹介が終わると、

次は私の番になりました。

「あのぉ、私の名前h、」

「七瀬 星名は休みだから、次。」

「え、あの、先生。私、休みじゃないん、ですけどぉ。」

「先生!!!七瀬さんいますよ。
あれ、皆には見えてないのか?」

ぶつぶつと独り言をいい始めた葵くん。

暫くの間、目を細めたりして、

やっと私のことが、うっすら見えたようで、

「お、おぉ。すまんな。
七瀬。自己紹介続けてくれ。」

と、言ったのです。

「は、はい。えっとぉ。
わ、私の名前は、そのぉ、七瀬 星名、と言います。
み、皆さんよろしくお願いします。」

言えた。言えたんです。

少しかんだけど、念願の自己紹介が、中学校以来です。

明るい顔になっていると、

戸塚くんが、優しい笑顔で笑っていました。

それにつられて、私も、笑みがこぼれてしまいます。

「その顔、可愛いよ。」

そういってくれた葵くんは、

もう一度微かに微笑むと、前を向いてしまいました。。









ーーーーーーーーーーーこれが、青春の1ページなんです。