「海空~起きなさい~。」



翌朝、お母さんの声で目が覚めた。




別に急ぐわけでもないのに、なぜか行動が素早くなっている。






そして1階へ下りて、朝食の支度をしているお母さんの背中に話しかける。




「ねぇ、おかあさん。」



「ん~?」



お母さんはあたしに背を向けたまま答える。




「今日は何にもすることないよね?」



「ん~、そうね。」




「じゃああたし、町探検してくるね?」



「いいけど、あんまり遠くには行かないのよ?海空、家の場所もろくに覚えてないんだから。」



「わかってるって。」





早々と朝食を済ませたあたしは、元気よく玄関を飛び出した。





「いってきま~す。」