オレは体半分程土管の勾配に落とし込んだところで両手を土管の側面に張り付け、腕の力だけで勢いをつけ一気に滑り降りた。
なんとも嫌な瞬間だ。今日に限って水がたっぷり溜まっていたらどうしようとか、マムシが待ち構えてたらどうしようとか…
体がエビ反り、逆への字なったところで勢いは止まった。
降りきったところには水もなくマムシも居なかった。オレはズルズルと前に這ってナオキが降りてこられる位の空間を作ってやり、懐中電灯の灯りを後ろに向けた。
オレ「ナオキ〜エエぞ、降りてこ〜い」
オレは誰も居ない真っ暗闇に向かって声を張り上げた。なんせ狭いから振り向く事すらままならない。
ナオキ「うっしゃあっ、行くで〜」
オレの後ろで、ナオキが降りて来る音がする。
ナオキ「おおっ〜おもろいやんけ〜っ!」
オレ「次まこっちゃん来るから前進んだってくれよ」
オレはズルズル這い進みながらナオキに言った。
まこっちゃんが滑る時はムラカミが後ろから懐中電灯で照らす為、まこっちゃんは自分の体が影になって、ほぼ真っ暗闇のトンネルを頭から滑る事になる。
実は3番目が一番恐いのでは?と、ふと思った。