懐中電灯の灯りが照らす先はほんの少しだけど、いつもの知ったルートだから、何の不安もなく進める。なんせ工事中でまだ使われていないのがいい。古い土管は蜘蛛の巣だらけの上、ほんとに何が出てくるか解らないし、なにより水が流れてて動きにくい。急に大量の水が流れてくる事もしょっちゅうだ。
少し進むと第一の難所が見えてきた。土管が急勾配で落ちこんでいるトコだ。オレらは滑り台と呼んでいる。長さは2メートル位だけど最初に降りた時は勇気がいった。なんせ先に何があるかも解んないし、第一戻れる保障が何もない。うつ伏せで滑ってはみたものの行き止まってたり、それ以上進めない程の細い管になってたらおしまいだ。
オレ「ムラカミ〜滑り台やで行くで〜」
ムラカミ「おう!ナオキっ頭から行けよっ」
オレはズルズルと這い進み、懐中電灯の灯りが不気味に照らしだす坂道の手前までやって来た。
オレ「ナオキ、オレが下に着いたら合図するから、それから滑って来いよ?ええな、合図するまで滑って来たらアカンぞ」