ムラカミ「もう誰も来んといてや…頼むでホンマ」
ムラカミは誰に言うでもなくボソッと呟くと、既に鍵の掛かっていない扉を静かに開いた。
オレらは辺りを用心深くチェックし、近くに誰も居ない事を確認すると、ササッと工事現場の中に入り込み、扉を静かに閉めた。
ナオキ「おおっ、こんなんが出来とるんか」
工事現場の中に初めて入るナオキは、外から全く見る事の出来なかった内側の様子を目のあたりにし、感動していた。
古い方のプールは殆ど壊されていて、元々プールが在ったところはコンクリートの塊がゴロゴロ転がっており、時々地面から錆びたパイプがニョキニョキと顔を出していた。
新しい方のプールは大分出来上がっているようだけどまだ色が塗られておらず、大きなコンクリートの升の中には、何に使うのか解らない機械や材料が並べてあった。