「すっ、好きです!!
付き合って下さい!!!!」

「うん、僕も友達として1番好きだよ。
で、どこに付き合えばいいのかな?」


私は彼を校舎裏に呼び出して告白をした。

そして、告白をして返ってきた言葉で気がついた。

彼は語学の天才であり、恋に関しては馬鹿である事を。


「いや、天才くん。
私は今ね、君に告白したの。」

「えっ、告白って君…。
何か悪い事でもしたの?」


天才くんは心底、心配した顔で言う。

そういえば、私がアプローチしまくってもこんな感じで終わってたような…。

振り返れば、今みたいな交わされ方をされていた。


「いや、違うんだよな…。」

「えっ、何が違うの?」


天才くんは呆れる私に対して、ただただ首を傾げるだけ。

そりゃ、馬鹿なところも好きだけどさ。

告白くらい気づいてくれたっていいじゃんか…。


「あのね、私は天才くんが男として好きなの。
天才くんと交際したいの。
あと、悪い事なんてしてないから!!!!!」


私はやけになってそう言う。

息継ぎなしでしかも、最後の言葉を思いっきり叫んだせいか、息切れが凄かった。

よし、これで気づいてくれたか…。


「……………。」


天才くんはぽかんとした顔をしたと思えば、次は何かを考え込んでいた。

…………えっ、まさか気づいてくれてない?

なんかもう、泣きそう…。


「……………あの、これってもしかして酷薄じゃなくて告白なの?
あと、数奇じゃなくて好きの方って事?
交際って光彩の聞き間違いじゃないよね?」


私がまた今度再告白しようかなと思っていると、天才くんが沢山の同音異義語を発する。

ごめん、天才くん。

私、語学の天才じゃないから同音でも異義語だったら全然意味は知らない。


「えーと、天才くん…。
つまり、どういう事?」


普段使わない言葉を聞いて、私の頭はパンク寸前だ。


「……………つまり、こういう事。」


そう言って、天才くんは私の唇を彼の唇で塞いだ。

私はそれを理解するのに、きっとかなりの時間を使ったと思う。


「僕も君が好きだよ。
もちろん、友達じゃなくて女として。」


天才くんは照れているのか、そっぽを向く。

私はまだ、天才くんが言った言葉の意味がわからなかった。


「えっ、なんで急に…。」


私はパンクした頭をどうにか動かして、言う。

アプローチしまくっても、気づいてすらくれなかったのに…?


「急にじゃないよ、結構前から好きだった。
君にかなりアプローチしてたし。」


天才くんは口を尖らして言う。

えっ、本当ですか…?

私は開いた口が塞がらない。


「絶対に嘘だ…。」

「嘘じゃないよ!!
まぁ、君は気づいてないから仕方ないけど。」


私の呟きは天才くんの耳にちゃんと届いたらしく、反論される。


「じゃあ、私のアプローチに天才くんは気づいてたの!?」


なんだか、私だけが気づいてないみたいで腹が立つ。

だから、私はそう天才くんに言ってやった。


「………………本当に?」

「本当だよ。」


私は天才くんが呟いた問いにそう答えた。

すると、天才くんはまた考え込んでいた。


「……………………。」

「………………………。」


妙な沈黙が2人の間に流れた。

なんか気まずい…。


「あっ、えっと、なんで最初は私の告白に気づいてない素振りみせたの?」


私は気まずい空気が嫌だったから、少し疑問に思った事を聞く。

そしたら、天才くんは考えるのをやめてこう言った。


「……だって、好きな人に告白されたんだよ?
絶対にないって思ってたら、告白されたんだよ?
だから、もしかしたらって違うのかなって思って…。」


天才くんは声が小さくなるのと同時に顔がどんどん赤くなる。

恋は盲目というやつか、私はそんな彼の馬鹿な発想も可愛くみえて仕方ない。


「あっ、今はちゃんと告白って理解したからね?」


天才くんはわたわたしながら言う。

その姿が可愛くて、格好よくて、好きすぎて。

だから、私は彼に抱きついてこう言ったんだ。


「天才と馬鹿は紙一重って言葉は君のためにあるんじゃない、彼氏様?」


その言葉と共に、彼は一層顔を赤くした。