自分はよく怖い、といわれる。
 自分にこうやって気兼ねなく話しかけてくる女子といったら真由子くらいか。

 意外に大きい目。今はやりの、二重にするなんたらをせずとも、綺麗な二重。眼鏡はシンプル。

 前に体育でバレーボールが 顔面に直撃したとき、前の眼鏡は真っ二つに割れたのを覚えている。その時見た、あの顔。

 普段眼鏡をずっとかけているやつが、急にはずすと、なんだか別人に見えるそれが、真由子にも起こっていた。


 それに―――菅野ってさあ、意外にかわいいところもあるよな。

 そんな同級生の言葉に、はっとした自分がいたことに、自分でも驚いた。





「河合君、私とのりちゃんとかいるとよく話しに来てたんだよねぇ。ほら、外の花壇に水やりとかやるじゃない?あれ、結構手伝いに来てたし。多分のりちゃん目当てなんだよねえ。私にはあんまり話しこないし、なんかこう、ぶっきらぼうというかなんというか。それで噂は本当のことなんだなぁって思っていたわけですよ」



 ペラペラ。
 俺が知っている河合は俺が見てもいいやつだとは思う。

 男よりも回りをよく見ているのはやはり、女の方らしい。しかし、と俺は少し勘違いしているらしい真由子へ思う。
 
 真由子、おい。お前、そんなへらへらしている場合じゃねえよ。

 それにしても、河合も河合だな。何でこいつなんだよ。しかもかなり誤解されてるぞ、っていってやりたいが、俺は多分言わない。