女の部屋を去り、ケモノは独り闇の中でまどろむ
ふと昔のことを思い出した
ケモノは昔、神だった
他のモノより少しだけ心を読むのに長けていた
そしてそれに過信したケモノは大切なモノが見えなくなっていた
ケモノがそのことに気づいた時にはもう何もかも手遅れだった
ケモノは愛するもの、力、全てを失い
形の無い、ただの黒い物体に成り下がった
『人を見ていると時々、昔の私を思い出す、人を助けたとして、私の過ちが消えることなど無いのに……』
そんな言葉も誰かに届くことはなく、闇に溶けていく
そして今日もケモノは彷徨う