商店街を走り抜ける。
顔がすごく熱い。
意味がわからない。
「はぁっ、はぁ」
息が切れてきて、その場で立ち尽くす。
頭がくらくらしてきた。
酸欠のせいだ、と私は自分に言い聞かせる。
「そうだよね。そんなわけないよ」
ちょっとドキってしたなんて、ありえないでしょう?
だって散々怖がってたのに。
変な人なのに。
私は胸に手を当てた。
どくん、どくんと強く脈打っている。
「あ〜〜もう」
あれは反則ですよね……。
私はよろよろとした足取りで家に帰る。
お母さんに今日の出来事を説明をしてる時も、夕食のときも、お風呂の時も、寝る時も、
あの人の顔が浮かんではかき消そうとしての繰り返しだった。
ーーもしかしたら、この時から私は恋に落ちていたのかもしれない。