目に焼きついてしまった。
まぶたを閉じても浮かんでくる。
色落ちした長い金髪はゴムで後ろに束ねられていて、鋭い目つきをしている。唇にピアス、首にかけられた十字架のアクセサリー。
極め付けは右眉付近にある大きな切り傷のような痕。
単語が頭にパッと浮かんだ。
ヤクザ。まさしくそれだった。
「とりあえず一口飲みな」
優しい口調なんだけど、顔のせいか凄みがあって怖くなる。
よく見たら腕も私の二倍はあってさらに怖さが増した。
飲まなかったら殺されるーー!
私は気が動転して湯気が出たコーヒーをたくさん口に含んで無理やり飲み込んだ。
「お、おい。あつくねぇの?」
熱いに決まってますとも。
私は火傷してるのがばれないように、がんばって笑顔を作った。
口の端がヒクつく。
泣き出したい気分だった。