「よし。インスタントコーヒーでいいよね?」
「ええっ? じゃあさっきの作業なんだったんですか?」
私は眉をひそめた。
「あ、これね、雰囲気作りだったから多分淹れても美味しくないかな」
私は悟った。
確実にこの人は変人だと。
でも、妙に安らぐ声色だった。
たぶんとぼけてて優しそうな顔をしてるんだなぁと思った。
「はい。どうぞ」
目の前のアンティークのテーブルにカップに入ったインスタントコーヒーが置かれる。
下を向いてインコを追い払っていた私は頭を上げてお礼ついでに顔を見た。
絶句した。
叫び声がでそうになったけど精一杯押しとどめた。
「ん、どうした?」
「あ、あ、いえ、べつに」
声があからさまに震えてるのがわかった。
私はつい目をそらした。