翼はまた真っ赤になった私を見て笑い、体育館に戻って行った。


残された私は一人、ペタンと床に座る。



「…………す…………き」



つぶやいたその声は、風になって消えていった。


………………もう、言ってしまおうか。


そうすれば、伊藤君だって本気になることなんかなくなる。


すべてがうまくいく…………はずなのに。