「とにかく、ありがとう。それじゃあ」 「あ、ちょっと待って!」 「……………はい?」 なかなか裏庭から出られない。 さっさと戻りたいのになぁ。 「俺さ、前から夏姫ちゃんと話してみたかったんだよね」 「…………はぁ」 「だってほら、夏姫ちゃんってさ…………」 ニコニコしながら近寄ってくるから、つい後ずさる。 トン 気がついたら壁はすぐそこ。 私と伊藤君の顔の距離はあとちょっと。