苦しい、怖い…………。 …………でも、ここかは抜け出すには。 あの人のもとに行くのは。 …………私は。 「私はもう、あなたの言いなりにはならない。私の気持ちは私のものよ」 言い切り、そして走った。 今、会いに行くよ、翼…………。 「…………夏姫?」 声がした。 それは、振り向かなくてもわかるくらい、愛しい声。 何年も何年も聞いたその声。