思いがけない言葉に、私は耳を疑った。




「少し見ないうちに、お前は強くなった。昔の夏姫は、いつもこっちの顔色ばかり見て、ぶつかれない子だったからな…………。それでも」


「…………」


「それでもお前は、優しい子だった」



…………優しい、子?


って言っても、どうせ口だけでしょう。


私のことを見てくれたことなんて、一度も……。



「お前は、気配りができる子だったな。重い荷物を持っている人がいたらすぐに助けてあげられていた。泣いている子がいたらなぐさめて、落ち込んでいる子には励ましていた」