だけど私は、運動が好きなことを言い出せなくて、得意でもないピアノを習わされていた。


更には、内気で笑顔が苦手な私には、友達なんて全然いなかった。


唯一の味方。


それはお母さんと、



「夏姫ちゃん!ピアノすごかったよ!」


翼だけ。



「翼君!蜜姫のじゃなくて、夏姫のピアノ見てくれたの?」


「うん!だって僕、夏姫ちゃんのピアノのほうが好きだから」


「…………ありがとう!」



翼とお母さんといるときだけ、私は本当の笑顔ができた。