てかまず……



「なんで!?」



私がそういうと、ニヤニヤしながらメガネ争いの女の子は私のことを見てきた。




「え、なに?てかさ、後ろ詰まってるから!とりあえず階段降りよ!」



私はそう言って、二人の手をとって走って階段を下りた。



この歩道橋の階段は異様に狭い。
なので、後ろは長い行列ができるほど詰まっていた。






いそいで降りている時、なにかにつまづいて階段から転げ落ちそうになったことは、誰にも気づかれていないことを願いたい。



そして、階段を降りた先にある、ちょっと広い道の隅に出るとふぅ、とため息をついた。



「で、あなた誰?てかこのメガネなに!?」



私はそうメガネ争いの女の子に言うと女の子は豪快に声を出して笑った。


「あははははは!えー!あたしのこと知らないの!?小学校一緒だし同学年だから!」




「え!それはごめん!で、誰?」



「1年3組の
鈴木里恵(すずにりえ)
だよ!はじめましてー」



元気よく自己紹介した里恵ちゃんは、ウインクをして、ぴょんぴょんと飛び跳ねながらピースをした。



鈴木里恵……

鈴木りえ……

すずきりえ……




あっ!



「え、昔ボーイズカットだった子!?」


「あったり!」




私と千紗は同時にえー!?と驚いた。




里恵ちゃんは小学校の頃、ボーイズカットで肌もちょっぴり黒くて、男の子っぽい!と有名だった子だ。





「えっ、えっ、ええ!?」



私は動揺を隠せなかった。



だってだって!
男の子っぽい!と有名だった子がいまでは……



肌はまだほんの少し黒いかもだけど、少し長かった前髪は、綺麗に眉毛の上で、直線に切りそろえられていて


前髪で、ほとんど見えなかった目は、いまではくりくりした2重の大きい目が姿をあらわしていて


なにより、男子並に短かった髪は(坊主ではないよ)いまでは高い位置でポニーテールをしていて、風になびいて背中のあたりでゆらゆらと揺れている。