巷では期間限定のイチゴ味チョコが流行っている、ようだ。


現に、あたしの隣の席の瀬尾　陽太もソレをまさに口に入れようとしているから。



あれからあたしは、チョコを食べられなくなった。
どんな甘いチョコでも、あの日食べたビターチョコのように苦く感じてしまうから。

元々そんなにチョコを好きでも無かったので食べなくなるのは苦ではなかったが、

こうやって流行り物に手を出せないのは何だか虚しい気もする

　　


「し、…白浜さん」



突然と瀬尾はあたしの顔色を伺うように見つめてきた。



…やばっ、ガン見してたのバレた？


あたしは、へらっと笑って「ん？」と返事してみる。




「白浜さん、もしかしてチョコ嫌い？」




「へっ？」




予想外、
そして図星の言葉にあたしはマヌケ顔で瀬尾を見た。