陽の光さえ届かない深い森。蒼く蒼く澄んだ、幻想の森。



蒼は妖精の雫(ナミダ)と言われ、世界に存在する蒼は、それから生まれたものだとされている。



まもなく始まると校長から一言あったものの、学園の代表者は今だ現れない。



片隅では和希が腕を組み、眉間に皺を寄せている。隣には御言。



和希はやや疲れた表情で、ため息を吐く。



「まったく……盟約式以外ないのが救いだな。と言っても、長老たちからの小言は避けられないが」

「手伝いませんよ」

「何で補佐役なんだ」

「給料いいですからね」



御言がキッパリ言い放つ。隠し事のない発言が彼らしい。何気無く和希が天を見上げた時だった――






Aria illusio
(幻想のアリア)