「もしかして迷子か?」



切り出したのは蒼馬だった。



「はい……幻想の森への道がわからなくて」

「新入生か。俺とこいつも今から向かうところだから、一緒にいくか?」

「わあ、ありがとうございます!私、詩観月葉です」

「真田蒼馬だ。でこいつが……」

「神代旭。よろしくね月葉」



旭がニコリと微笑む。どこからどうみても、爽やか好青年。蒼馬からみたらただの詐欺師だが。



「旭……何を企んでいる」

「さすが幼馴染み。バレたか」



少女はにこにこしながら待っている。その周囲を興味津々といった様子で、瑠璃が泳ぐ。



旭が笑みを浮かべながら。



「これ以上月葉を待たせられないし、いこうか」



結局、旭の企みが明かされる事はなかった。