「旭はまだ来ないのか!?」



怒号と共に机を叩く。もう何回も時計と扉を交互に見たが、一向に現れる気配はない。



「まあそうですね」



軽く頷く青年。時間厳守で来るわけがないと思いつつ、窓に視線をやる。



『ミコどうするノ?探ス?』

「そんなわけないだろ」



銀色に輝く髪と蒼白の瞳。



一条御言。



一応学園長補佐役で、主に雑務担当である。



「はあ。仕方ないな、瑠璃」

『わかったノ』



パシャン。



透明な羽を生やした三日月の魚が空間を潜る。瑠璃の気配が無くなった後、御言は呆れた顔をした。



「旭は、相当な食わせ物だといったはずですが?」

「そんな事は僕だって承知の上に決まってるだろう、代表者に決めたのは僕なんだ」

「ああそうですか。どうします、盟約式遅らせますか?」



別に遅らせた事で大して支障はないと御言は思うが、学園長はどう思うのか。