「妖精が自然から派生した精霊である事は、知ってるよね?」

「うん」

「源(ハジマリ)は自然界に存在するすべてのものだ。始まりは命を現す言葉、命そのもの――だから、源(ハジマリ)をそのまま名前にする人も多い」

「はあ」



思わず気のない返事をしてしまう。詩は好きだが、こういう小難しい話は苦手だ。



そんな事を思った月葉は旭を観察する事にした。



紅茶を飲む姿も旭は様になってて、黙っていれば間違いなく王子様である。



ぼうっとしてると――



「月葉……オレの話全然聞いてないね。堅物の方がいいなら、すぐ詠ぶよ?」



いい笑顔の旭。