『盛り上がってるとこわりーけど、もうこっち終わったぞ』

「ごめん深紅」



呆れ顔の深紅。カフェに戻ろうとした時、何かを思い出したように少年が立ち止まる。



「僕は深谷澪。よろしくね月葉さん」

「あ、名前」

「旭さんから教えてもらった。美味しい朝食作るから、テラス席で待ってて」



言われた通りテラス席で待っていると、旭が紅茶を運んできた。



「お待たせ月葉。竜胆なら、深紅たちとホットケーキ食べてるよ」

「名前わかるの!?」

「竜胆の花」

「うん?」

「飾ってるでしょ、君の妖精の源(ハジマリ)」

「はじまり?」



まだ聞いた事のない単語。そうだな、と旭は椅子に腰かける。