駅から学校への道のりを歩みつつ、頭では昨日のことばかり考えていた。

あれは現実だったのだろうか。

私の妄想なんじゃないか。

だって、あの綾崎くんの彼女だなんて。

偽物であれど、私には恐れ多い響きだ。


「いたっ…。
ごめんなさい」


考えごとに集中しすぎたせいで、よろめいて人にぶつかってしまったらしい。

慌ててぺこりと頭を下げた。


「ふらふらしてたけど大丈夫?」


この声をは…!


「綾崎くん!だだだだいじょーぶです!」


私の頭の中を今まさに占領していた張本人にぶつかるなんて、心臓に悪すぎる。

それにしても、朝から綾崎くんに会えるってかなり幸せだ。


「元気ならいいけど」

「ありがとう」