この俺の寝室へと当然のように訪れて。
…俺を抱くのだ。いつものように。
吐き気を耐えながら、屈辱に歯がみしながら、嫌悪感に涙を浮かべながら。
それでも俺は。それに耐えなければ、ならない。
ソラのために。
「かせー、どっか痛いの?」
俯いた俺の顔を、ソラが見つめる。大きな金色の瞳が、俺の心まで見据える。
「大丈夫だ、ソラ」
「でも、かせー。絶対どっか痛そうな顔、してる」
心配そうに俺を見上げる、ソラ。どうしてもコイツを騙すコトは出来ない。
だから。
その頭を、わざとぐちゃぐちゃにするように、なでてやる。
「大丈夫だと言ってるだろう」
笑いながら。
でも。
頭をなでる時、指先に当たる。大きな。…傷跡。
思わずはっとして、手を離した。
去年、ついたばかりの。傷跡。
いまだに、醜く盛り上がり。ソラの頭を蛇のように這っている。
「ソラ…」
「かせーが痛いの、やだよ。俺」
俯くソラの頬に、涙が一筋。
「やだよ…。かせー」
子供のように、泣き出してしまったソラをそっと胸に抱きしめてやる。
「大丈夫だ、俺は痛くなんかない」
そうとも、もう、この俺に残されたのはコイツだけなんだから。コイツのためなら、大丈夫だ。俺は。