林たちと四人で、海に行くことが決まった。いつも静かな悠馬が、計画好きということがそこで判明した。そして俺が「A型?」と聞くと、やはり、そうだった。
と、いう訳で、そこは頼りきった。とはいうものの、言い出した俺が何もしないのもよろしくない、という訳で、
「どこになった~?」
「熱海」
くらいの会話はした(笑)
林が言った。
「俺たち、何か、よかったな」
「意味わかんないけど、なんとなくわかる」
それは昼下がり、授業を抜け出して、肌を焼いてる時のことだった。俺は、ふと思ったことを口にした。
「ねえ、林って、何で彼女つくらねーの?」
「わかんねー。つくらねーっていうか、できねーの」
そっか。カッコよすぎるもんな。なんか、わかってたけど、聞いてしまった。林だって、俺に今更そんなこと聞かれたくなかっただろう。
「まあ、せいぜい、涼は玲奈を大切にするんだな」
「はい」
「なんだよ?かしこまっちゃって」
「ごめん」
「謝んなて」
「ごめん」
「だから~、謝るな」
二人、また笑う。
そんなささやかな、ぬるま湯のような日々から、一週間のことだった。
夏休み!
電車を乗り継ぎ、俺らは東京から熱海に向かった。日差しが強く、熱ーい日だった。海日和。みんな、水着だけを持って。
林は毎年、海で泣く。慰めてくれる彼女もいないから、俺が慰める。「泣くなよ」って。強く優しく。いつも二人だった。だから四人は初めてだった。
林はやっぱし泣いた。子供の様に。誰も引かないけど、引くほどに。その時、啓太と悠馬はいい奴だって思った。
「泣くなよ」
だんだん、声は小さくなり、すすり泣きになった。
「ありがと。涼。悠馬と啓太も」
何とか、喋る。
「海に行くと、何だか虚しくなるんだ。そういうことって、ない?ないよな?」
啓太が発言する。
「わかんないけど、俺も解りたいって思った。今、すごく」
「俺も」
悠馬が続く。
俺はなんとも言わなかった。ただ、海を見て、林の理解者が増えてよかった、と思った。正直、最初は邪魔だったから。けど、好かれるのも悪くないなって、初めて思った。
林は、海でお母さんを亡くしている。まだ幼稚園の頃。けど林はその時泣かなかった。俺はその時、胸が苦しくなった。その時、俺はこれから先、ずっと林の傍に居ようって思った。もっと泣いて、とも思った。俺の前ではいいよって。けど今、3人の前で泣いている。きっと、お母さんを亡くして以来、俺以外の人の前で泣いたのは、初めてだ。嬉しい。って、俺は親か。けど、林のお母さんになるのも、悪くないなって思った。それ位、俺は林が好きだった。ホモではないぞ?
けど、林に彼女ができてほしくないって思う。仮に、できても、俺みたいにテキトーに突き放してくれたらと願う。こんな俺ってバカか。
けど。守りたい人がいる幸せを、毎日感じていることが、俺の幸せでもあった。そしてそれは、自己満でも構わないと思った。
「涼」
声に俺は我に返った。すっかり考え込んでたようだ。
「何度も呼んだのに。目え開けたまま寝たんじゃないかと心配したよ。なあ?」
誰かが言う。
「ごめん、ごめん」
「こいつ、たまにこうなる時あるんだ」
林が説明してくれた。林が俺のことを知っていることが、嬉しくてたまらない俺だった。
と、いう訳で、そこは頼りきった。とはいうものの、言い出した俺が何もしないのもよろしくない、という訳で、
「どこになった~?」
「熱海」
くらいの会話はした(笑)
林が言った。
「俺たち、何か、よかったな」
「意味わかんないけど、なんとなくわかる」
それは昼下がり、授業を抜け出して、肌を焼いてる時のことだった。俺は、ふと思ったことを口にした。
「ねえ、林って、何で彼女つくらねーの?」
「わかんねー。つくらねーっていうか、できねーの」
そっか。カッコよすぎるもんな。なんか、わかってたけど、聞いてしまった。林だって、俺に今更そんなこと聞かれたくなかっただろう。
「まあ、せいぜい、涼は玲奈を大切にするんだな」
「はい」
「なんだよ?かしこまっちゃって」
「ごめん」
「謝んなて」
「ごめん」
「だから~、謝るな」
二人、また笑う。
そんなささやかな、ぬるま湯のような日々から、一週間のことだった。
夏休み!
電車を乗り継ぎ、俺らは東京から熱海に向かった。日差しが強く、熱ーい日だった。海日和。みんな、水着だけを持って。
林は毎年、海で泣く。慰めてくれる彼女もいないから、俺が慰める。「泣くなよ」って。強く優しく。いつも二人だった。だから四人は初めてだった。
林はやっぱし泣いた。子供の様に。誰も引かないけど、引くほどに。その時、啓太と悠馬はいい奴だって思った。
「泣くなよ」
だんだん、声は小さくなり、すすり泣きになった。
「ありがと。涼。悠馬と啓太も」
何とか、喋る。
「海に行くと、何だか虚しくなるんだ。そういうことって、ない?ないよな?」
啓太が発言する。
「わかんないけど、俺も解りたいって思った。今、すごく」
「俺も」
悠馬が続く。
俺はなんとも言わなかった。ただ、海を見て、林の理解者が増えてよかった、と思った。正直、最初は邪魔だったから。けど、好かれるのも悪くないなって、初めて思った。
林は、海でお母さんを亡くしている。まだ幼稚園の頃。けど林はその時泣かなかった。俺はその時、胸が苦しくなった。その時、俺はこれから先、ずっと林の傍に居ようって思った。もっと泣いて、とも思った。俺の前ではいいよって。けど今、3人の前で泣いている。きっと、お母さんを亡くして以来、俺以外の人の前で泣いたのは、初めてだ。嬉しい。って、俺は親か。けど、林のお母さんになるのも、悪くないなって思った。それ位、俺は林が好きだった。ホモではないぞ?
けど、林に彼女ができてほしくないって思う。仮に、できても、俺みたいにテキトーに突き放してくれたらと願う。こんな俺ってバカか。
けど。守りたい人がいる幸せを、毎日感じていることが、俺の幸せでもあった。そしてそれは、自己満でも構わないと思った。
「涼」
声に俺は我に返った。すっかり考え込んでたようだ。
「何度も呼んだのに。目え開けたまま寝たんじゃないかと心配したよ。なあ?」
誰かが言う。
「ごめん、ごめん」
「こいつ、たまにこうなる時あるんだ」
林が説明してくれた。林が俺のことを知っていることが、嬉しくてたまらない俺だった。