「空っ!!」
10番の背中。
「おっ、どうした?」
「勝ったんだね!おめでとうっ!!」
「わざわざそれを言いに来たの?」
「そうだよ!1番に言いたかった!」
サッカー部の皆は私達に気を使ったのか部室から出て行った。
「マジか。嬉しんだけど…」
「空かっこよかったよ!?」
「ありがとう」
「うんっ!!」
私は空が着替えるかなと思い背を向けた。
「なんでそっち向くの?」
と、空が言ってきた。
「え、着替えると思って…」
「あーね。けどもうちょい…」
「へ?」
私の間抜けな声と同時にやってきたのは空の暖かい温もりだった。
「そっ、そらぁ…」
いま後からぎゅってされてるよ…。
心臓がドグドグうるさい…。
「なに?顔真っ赤だけど?」
空は私にからかうように言ってきた。
「もー、いいのー」
「ふーん、って俺すげぇ汗臭いかも…」
「ううん!いい匂い!」
「嘘つけ!」
「嘘じゃないよー」
私は空の方に向いて、空をぎゅってした。
「…見に来てくれて…ありがとな」
「ううん!!また行くー」
「そう言ってくれると嬉しいよ」
「へへっ」
「…」
「空だーいすきっ!」
「…ありがと」
「うんっ!あのね!空のことみーんな見てたんだよ?」
「皆って?」
「女の子!」
「うわ、マジか。勘弁…」
「ほんとにそう思ってる?」
「思ってるよ。俺を見るのは果歩だけで充分だって」
「もうっ、」
空は私にそっと、キスをした。
そのキスは私にとって忘れられないキスとなり、
学校で初めてキスをした…。