「ただいま」
今日はどこにも寄り道せず自分の家にまっすぐ帰った。
「おう。早かったじゃん」
「うん。どっかの誰かさんが早く帰れなんて言うから」
「どっかの誰かさんで悪かったな」
「ふんっだ」
「おい、飯は」
「うん?なんか作ってよ」
「はあ!?無理無理」
「何も作れないの!?」
「おまっ、無茶ぶりだよそれ」
「じゃあ昨日の夜どうしたのよ」
「食ってない」
「えっ!食べてないの!?」
「待ってたんだけどな」
「…そっか。じゃあ私なにか作るよ」
「お、おぉ」
…。
「「あのさ、」」
あ、揃った。
「ん、なに?」
「先にどうぞ」
私は空に手を添えた。
「あ、なんだっけ」
「えぇ!?」
「あ、思い出した。あのさ、明日なんだけど」
「うん?」
「遊び連れて行ってやるよ。久しぶりだしな」
「本当!?」
「あぁ。どこ行きたい?」
「んー、遊園地!」
「こんな寒いのにか?」
「あ、そっか。それに明日雪が降るって言ってたね」
「遊園地は春に連れてってやるよ」
「うん!約束ね」
「いいよ」
「あっ、じゃあ!映画見に行こうよ!」
「どうせ恋愛ものだろ?」
「どうせって何よ。恋愛ものだっていいじゃない」
「女子って好きだよな」
「私女子だもん。立派な」
「どこがだよ。似合わねーよ?」
ぐっ。
「悪かったな!」
「別に。なら明日映画な」
「うん!」
やったー、映画なんて久しぶりだよ。
「あ、寝坊すんなよ」
「しないわよ!」
それはこっちのセリフだい!
「それより果歩が言いたかったことは?」
「あ、うん。ご飯手伝ってくれる?」
「準備くらいなら出来るけど」
「包丁使えないの?」
「悪かったな使えなくて」
「ふふっ、相変わらず変わってないね」
「別に」
全く。
何年経っても、料理が出来ないのは変わらないんだね。
「今日はオムライスだよー」
「まじか!」
空の笑顔が好き。
空の意外と大きな手が好き。
空のたまに見せる素直なところが好き。
全部大好きなの。