心が痛い。
「おい果歩」
「へっ、」
窓から侵入してきたのは空だった。
私は慌てて涙を拭く。
泣いてたことバレてないよね。
「…果歩?」
空の声が低くなったのが分かった。
「泣いてんの?」
空は私の腕を取って私の顔を見る。
「ちょっ、そらぁ」
「…目、赤いじゃん」
「ううん、泣いてなんかないよ!」
「…嘘つけ」
すると空は自分の方に優しく抱き寄せた。
「そ、空っ、」
「ごめん」
「へっ…」
空はとっても暖かかった。
「…俺の事だろ?」
「えっ、…」
なんで分かるの?
「果歩、俺の事で泣いてるときいつもそうやって慌てて隠そうとする」
「…そうだっけ」
「分かってんだよ」
空に力が入ったのが分かった。
「…うっ、」
「ひとりで抱えんな。言えよ…」
「うん…」
「なに?」
空はいつだって私を大好きにする。
私を虜にする。
私が泣いてる時、優しく声をかける。
「空、好きだよ?」
空は?
「あぁ」
ほら、やっぱり言ってくれないじゃん。
『原田君に言ってみなよ!』
そうだよね…。
言わなきゃ進まないよね。
言わなきゃ。
「言いたかったのはそれだけ?」
「…あのね、」
「…」
「そ、空は…私に興味ないの…?」
「なに、言ってんの?」
空は私を離す。
「ううん…やっぱりなんでもない…」
「あるよ」
「え?」
空?
「いや…」
「空?」
「だから…やばいんだよ色々」
「へ?」
「おさえてんの…分かんね?」
空の顔が真っ赤だった。
「…そらぁ」
「結構頑張ってんだけど果歩ちゃん」
そ、そうだったの?
でも頑張るってなにが?
「頑張って?」
私は聞いてみることにした。
「はっ!言えるかっ」
「えっ、??」
「なんでもねーよ!忘れてくれ」
「う…じゃあ私と…その…」
「…?」
は、恥ずかしい。
「し、したくないの?」
「…なにが?」
え?
わ、私間違ってる?
「…だ、だからその…」
「なんだよ」
「その…えっ、…」
「ん?」
「なんでもないっ!」
「はっ?なに?」
「もーいっ!ばいばいっ!」
私はそっぽを向く。
「なぁ」
「…なによー」
私はそっぽを向いたまま口を尖らす。
「こういうこと?」
「え?なに…」
そ、空…?
空は私の顔に手を添え、私の顔を横にずらしキスをした。