特殊警備部隊とは、普通の警備班とは違い、主に立てこもりやジャック事件など、危険な事件を請け負う部隊。

文字通り、特殊部隊だ。

その指揮官になるのは決して容易ではない。

現場でのみ培われる経験や能力、そして何よりも判断力が必要とされるのだ。
一時の判断が事件の行方を左右させるのだ。

人の命に関わる職務。

その重さも知っていなければならない。

しかし早川はこの全てを知っている。僅か30歳にもかかわらず。

それは彼が昔経験した一つの事件によるものだった・・・・。


やっと着いた。

特殊警備部隊と書かれた看板。

やはり本庁は地方とは違って広いんだな。そんな感想を抱いた。

扉を開けて中へ入る。


「初めまして、早川指揮官でございますか?」


いきなりの問い掛けに早川も驚いた顔をした。


話し掛けてきたのは20代前半の、男性と言うより青年のような男だった。

さらにその後ろには9人の警官らしき人が並んで立っている。

どうやら私の部下になる人間たちのようだ。


「そっ、そうだが。」


襟元を手で軽く直す。