おばあちゃんの一言は私の背中を押した。
道場の前でその力が尽き立ち尽くしているとおじいちゃんが中から出てきた。
一瞬驚いた様に目を丸くしてスッと逸れる。
そのおじいちゃんに私は叫んだ。
「ごめんなさい、私にもう一回空手をさせてください!」
自然と頭が下がる。
おじいちゃんはなんの反応も示さず気配が動いた。
どこかに行く!
慌てて先を続ける。
「あんなに身勝手なこと言ったのに図々しいとは思ってます、でもやりたいんです!」
動く気配が止まった。
チャンスなら今しかない――――。
「空手が好きです、やらしてください」