そのころの私といえば暇なときはおばあちゃんの家に入り浸るようになっていた。
ある日お手玉を何気なくポンポンと手の上で弾ませていたときだ。
おばあちゃんが私の頭に優しく手を置いた。
「おばあちゃん、どうしたの?」
「未優ちゃんは賢いからもう分かってるのよね?」
諭すような優しい声は怒られているわけではないのになぜか痛かった。
「だったらもういい加減意地を張るのはやめなさい、人としての価値が下がるから」
祖母は優しいように見えて孫にも厳しい言葉を使う人だった。
その祖母は私が中学に上がると同時に他界してしまったのだが。
そのときの祖母の一言は今でも私の心に残っている。