普段優しいおじいちゃんが修行となると鬼のような顔になるのが怖かった。
それに小学校の頃といったら遊びたい盛りで、学校が終わるとすぐ道場にすっ飛んでいかないといけないのも気にくわなかった。
道場へは嫌々通うようになり修行もバレない程度に手を抜くようになった。
そんな修行を続けて1ヶ月、いつものように道場へとぼとぼ歩いて向かうと道場の敷居のまえに正座したおじいちゃん。
「おじいちゃん、どうしたのそんなところで」
聞いても黙りこくっているおじいちゃんを訝しみながらも敷居を跨ごうとするとおじいちゃんが静かに言った。
「お前は入らんでええ」