落ち着いた頃合いで話しかけると跳び跳ねてずれた赤縁メガネを上にあげながら手に持っていた紙の束をこちらに差し出す。
貰ってもいいのか、こちらからも手を伸ばすと束をが手に収まった。
「この恩は高いわよー、未優ちゃん!」
にやっとあのときと同じ笑顔を残し立ち去ろうとした背中に向かって慌てて声をかけた。
「ありがとう、速水さん」
「彩花でいいよー、名字なんて堅苦しい」
振り返りニッコリの笑顔と共に言われた言葉に「ありがとう、彩花」と言い直すと向こうも照れたように笑って立ち去った。
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