「将にはるとにしずや。なんでこの電車にいるのよ、一本遅いのに乗るんじゃないの?昨日は一本遅いのだったじゃない」
「いや、昨日横田が村田はこの時間のに乗るって言ってたから」
将の言葉にギロリと隣に揺られている美月を睨みつけるとすいっと目をそらされた。
まぁいいわ。
3人に向き直る。
「で、誰が私の携帯を知ってるの?」
無言で手をあげたのは3人。
再び美月を睨みつけた。
同じように目をそらす。
深い息を吐いたところでチョンチョンと遠慮がちに肩を叩かれた。
「なによ、はると」
「俺、はるとじゃなくて波瑠。しずやじゃなくて淳也」
しずやじゃなくて淳也を指差し言ったはると、じゃなくて波瑠の言葉で車両の空気は冷たく凍りついた。
一部を除いては。
隣で笑い転げる美月の頭を将のお腹を私は無言で殴りつけた。
後で覚えてろ、美月に将。