「でもっ……最近俺らを助けてくれた族がなぜか悪いことをしだして
それで調べてみたらなんか助けてくれた族の総長の彼女が
………らっ、拉致されたみたいで」
そこまで言って角倉くんは一旦言葉をとめた。
まるでこみ上げるなにかを必死で堪えようとするように、既に湯気すらでていないコーヒーを睨みつけている。
なるほどね、思ったより深刻だ。
隣に座っている美月も、まさかこんな話になると思っていなかったのだろう。
パッチリ二重をさらにパッチリさせている。
「多分脅されているんだと思います、彼女を拉致した族………黒夜(こくや)の奴らに。あいつら前から人助けをして皆に人気がある華由羅(かゆら)の人達を嫌っていたから」
言葉を詰まらせた角倉くんの代わりに引き継いだ矢代くんも辛そうに顔を歪めていた。
それだけその族が好きなんだ、って考えたら訳も分からない衝動に駆られて抑えがきく前に言葉が飛びだした。
「いいよ、私が三人を強くする」
あれ、なんでこうなった。