「実は俺たちはこれでも一応、暴走族を名乗っているんですけど………正直喧嘩はそこまで強くなくて。」
「え、じゃあなんで暴走族やってるのよ?普通喧嘩に自信ある人がやるんじゃないの?」
「いや、えっとですねー…」
それまで淀みない説明を続けていた田口くんが美月の突っ込みに急にしどろもどろになった。
どうしたんだろ?
困ったように他の二人に視線を向けていた田口くんの肩に角倉くんが「任せろ」とでも言うように手を置いた。
「俺ら前に助けられたことがあるんです、同じ族を名乗る人達に。
肩がぶつかっただけなのに喧嘩売られて路地裏で殴られたり蹴られたり………。
そんなときに助けてくれたのがその人達です」
「ふーん、それでその人達みたいになりたいと」
良い話だねー。
一人感動してうんうん頷いているとなぜか情けない顔をする三人。