部屋の戸が開けられた。
多分百合香だと思う。
置き去りにしてしまった事を謝らないといけないのに、今は出て行きたくなかった。
「舞、聞いたよ?
フッたんだってね」
百合香の言葉にズキンって心がいたんだ。
傷付く資格なんてないのに。
「何で?
舞、好きなんじゃないの?」
気付かれていたことに驚いて布団から出てしまった。
呆れたようにこちらを見ていた百合香は親友舐めんじゃない!と私にデコピンを食らわせた。
「痛い……。」
「で?
何で断ったの。」
ズイズイ入り込んでくる百合香が引かないことは学習済みである。
「もしモノ話だよ?
もし、ある男と、ある女が来世で恋をしようって、約束していて、
それを伝えるためにわざわざ人の夢にお邪魔して、
自分がその生まれ変わりだと告げられたらどうする?」
例え話にして百合香に言うとキョトンとした顔で私を見て、さらには笑い出した。
「ちょっ、真剣に「あんたはあんたでしょーが」
遮られた挙句チョップをお見舞いされた。
地味に痛いし……。
「もし、あんたがその約束した方の生まれ変わりだったとしてもあんたはあんたでしょーが。
よく、自分で言ってるでしょ?
今更何言ってんの?
……………もう少し、信じてあげなって、
彼のことも、自分のことも、」