〜琉奈side〜
「――春翔くん、桃花うまくいったかなぁ?」
私は今、春翔くんと私の家のリビングにいる。『クリスマス、一緒にいようよ』と春翔くんがいってきたからだ。……ドキドキするな、一晩ずっと一緒だなんて……。
「大丈夫だよ、あの2人なら! だってどっちかが告白すれば両想いだから付き合えるし☆」
「ていうか、そもそも桃花の好きな人は冬翔くんなの?」
「うん、冬翔だよ。この前は2人で映画観に行ったんだって♪ ……まぁ、一応帰ったらうまくいったか聞くんだけどね♪」
そのあと春翔くんはゲームをしたり勉強したり、テレビを見たりしていた。私はその間に、春翔くんが好きそうな夕食を作った。
「ん? この匂いはもしかして、カレーライス?」
春翔くんはゲームをやめて、夕食を作っている私の方にきた。
「うん! 春翔くん、カレーライス好きかなって思って」
「ホント!? やった〜! 僕、カレーライス超好きなんだ♪」
「よかった♪ さてと、食べよっか春翔くん!」
私達は夕食を食べ終わったあと、お風呂に入って寝室にいった。
「てか、冬翔ってホントに素直じゃないよね〜……。琉奈ちゃんとも仲良くしたいらしいけど……」
「そうなの? 私、てっきり嫌われてるのかと……」
「まぁ、冬翔が女子を嫌ってるのは本当だけどね」
確かに、冬翔くんが女子と話してるところはあまり見ないな……。
「ま、いっか☆ ……もう10時だし寝よっか」
春翔くんはそういって2人〜3人くらいが入って寝れるベッドにむかった。
「……おいで、琉奈ちゃん」
「うん、……きゃあっ!!」
すると、私は春翔くんにベッドに押し倒された。
「春翔……く――」
「……琉奈」
いきなりの呼び捨てに驚いていたら、春翔くんに口を塞がれた。
「……琉奈可愛い、大好きだよ」
「私も大好きだよ……、春翔くん」
私達はとてもリラックスできるBGMを聴き、抱き合って寝た。
そして休みが明けて1月中旬。
「ねぇ琉奈、今度デートしない!?」
体育が終わって着替えていると、桃花がそういってきた。
「え、デートって……」
「私達と春翔達で買い物にいくの! いく?」
「うん、春翔くん達もOKしてたの?」
「もちろん!!」
「……あっ、琉奈、桃花!」
教室に戻ると、春翔くん達がきた。
「あっ、いつなら空いてる? デート」
「僕達はいつでも空いてるよ〜」
「そう? ……じゃあ明後日に決定☆ このあと授業ないし帰ろっか!」
私達は荷物をまとめて学校を出た。私と春翔くんは、桃花達の後ろを歩いていた。
「……あ、冬翔私があげたマフラー使ってくれてるんだ!?」
「あぁ。桃花はマフラーとかしねぇの?」
「うん、家に一応あるけど使ってないんだよね。さすがに今日は寒いな……」
桃花がそういってくしゃみをすると、冬翔くんは自分のマフラーを半分首に巻いて、残りの半分を桃花に巻いた。
「寒いならしてくりゃいいじゃねぇか。心配させんな」
「……ありがと冬翔!」
桃花はそういって冬翔くんの左腕に抱きついた。冬翔くんは『……別に』といっていた。
「……桃花と冬翔くん、ラブラブだね〜……」
「じゃあ僕達も“ラブラブ”する?」
「えっ?」
春翔くんの方をむいた瞬間、目の前が暗くなった。……春翔くんがキスをしてきたから。
「ね? ラブラブでしょ?」
春翔くんはそういってニコッと笑った。前を歩いていた桃花達はニヤニヤと笑った。
「ラブラブですね〜♪」
「もっ、桃花っ……!!」
そしてダブルデート当日。私達は巨大なショッピングモールにきた。
「あっ! この服琉奈に似合いそう! これ、着てみて?」
春翔くんに渡されたワンピースを持って、私は試着室に入った。
「……ど、どうかなぁ? スカートが短くって恥ずかしい……」
「大丈夫だよ、似合ってる! 可愛いし」
「そう? ……じゃあ買っちゃおうかな……」
私はそういってレジカウンターにいって会計をして春翔くん達のところに戻った。
「お待たせ〜! ……って、春翔くん!?」
私が戻ると、春翔くんはカチューシャをつけてピンク色のトップスを着て、スカートをはいていた。……か、可愛い……!!
「!! 琉奈に、見られた……っ」
半泣き状態の春翔くんは、冬翔くんに抱きついた。
「さ、次行こう!」
桃花は春翔くんを戻させて、私達は本屋にむかった。……冬翔くんが好きそうな場所だな……。本屋で本を買ったあとは、近くの公園で休んだ。
「3人とも、何か飲み物買ってくるから待っててね!」
「あ、俺もいく」
「「いってらっしゃーい!」」
「……琉奈っ、デートってやっぱり楽しいね!」
「うん! 春翔くん、いつも優しいし面白いし、たまに積極的になったり……」
「冬翔は冷たいけど、中身はとてもいいんだよね〜、少し俺様系な感じでさ……」
2人でそう話していると。
「ねぇねぇ、君達暇でしょ〜?」
ベンチに座っている私達に話しかけてきたのは3人の髪を金色や赤に染めている男達。
「いや、暇じゃないし、連れがいるんで……」
「いいじゃん、俺達と楽しいコトしない?」
「やっ……!!」
男達は私と桃花の腕を掴み黒い車に乗せようとしてきたその時。私達の後ろに誰かがきた。
「――おい、てめぇら。俺の女に手ェだしてんじゃねぇよ」
「今すぐ手を離さないと――痛い目に遭うよ?」
後ろをむくと、そこにはいつもとは違う雰囲気の春翔くんと冬翔くんがいた。凄い殺気……。
「ひっ……!! すみませんでしたあぁぁっ!!」
そういって男達は急いで私達から手を離して、車に乗って走っていった。
「桃花、大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ冬翔」
「琉奈……!! 怖かったよね、なにもされてないよね?」
「怖かったけど助かってよかった……」
「「……さっきの、超かっこよかったよ!!」」
私と桃花は、そういってニコッと笑った。
「俺の調子狂わすんじゃねぇよ、桃花……」
冬翔くんはそういって顔を隠した。
「……その顔、反則。可愛すぎ」
続けて、春翔くんが私にむかってそういった。照れてる……?
「……あぁもう、帰るぞ桃花!!」
冬翔くんは桃花の腕を引っ張り、走った。春翔くんと私は2人を追いかけた。
「……ねぇ春翔くん」
「? なぁに?」
「……これからもずっと一緒にいてくれる?」
「うん、もちろん!」
――数年後、私と春翔くん、桃花と冬翔くんはめでたく結婚したのだった。
*end*