〜桃花side〜
私は春翔にフラれたあと、階段を下っていた。すると、階段の踊り場に一人の男子がいた。私は涙で視界が歪んで誰だか分からなかった。でもその特徴的な声を聞いて、すぐに誰だかわかった。
「……桃花、春翔にフラれたのか」
「冬翔……」
私は涙をふいて冬翔の方を向いた。
「桃花って春翔のこと、好きだったんだ?」
「うん、そうだよ。だけどもう……終わったもの」
「ふーん……。俺は……」
「え……?」
すると、冬翔は私の方に近づいてきた。そして、冬翔は強く私を抱きしめてきた。
「俺は桃花が好きだ」
「……! なんで……? 冬翔、女子苦手じゃ……」
「お前は特別だから。……ほら、帰るぞ」
「……うん」
私の胸が高鳴ったのは、気のせい……なのかな。私と冬翔は近くの公園に寄り道して帰ったのだった。
★END★
こんにちは、雨ノ宮心音です!
今回は双子が一人の女の子に恋をする、という感じにしようと思ってたらちょっと違うものになってしまい、冬翔の登場シーンが少なくなってしまいました……(^。^;)
因みに、この物語を書こうと思ったのは、HoneyWorksの「世界は恋に落ちている」という曲を聞いて、こんな感じに書こう!と思ったからです。あと、花火大会の「キレイだね」は「東京サマーセッション」の歌詞を使わせてもらいました☆
※冬翔と春翔が好きで続編執筆しちゃいました☆次ページから続編です♪
現実にいたらいいなとか考えてたりしてました(^。^;)
私の彼氏は転校生。
私のいじめと友情物語
叶わない恋〜14歳の赤ずきんとオオカミ〜
好き すき スキ。
も書いてます♪
では(^^)/~~~
★続★twins cherry
しっかり者の美少女
青空 琉奈
ほんわかしてて
少し鈍感
中川 春翔
春翔以外の人には
素直になれない
中川 冬翔
春翔に告白して
フラれてしまった
西園寺 桃花
桃花と冬翔の恋の行方は……!?
start:9月25日
完結:9月28日
「春翔くーん! おはようっ!」
私は校門でちょうど会った春翔くんに手を振って駆け寄った。
「あっ、琉奈ちゃん! おはよ♪」
「「……あっ」」
「桃花だ……!!」
桃花……、春翔くんに告白してフラれちゃったこと、まだショックだよね……まだ1日しか経ってないし……。
「……桃花〜っ!! おはよう!」
春翔くんは桃花の方に走っていき、桃花の肩を叩いた。
「桃花おはよう!」
「……うんっ、春翔、琉奈おはようっ!! いこっ、2人とも」
「――待てよ」
すると、後ろから低い声が聞こえた。……まさか……。
「冬翔! なんで!? まだ8時15分なのにきてる!! 雪でも降るんじゃないの!?」
「失礼だな。今日から早めにいこうと思っただけだ」
「なんで? ……あっ、もしかして好きな人でもできたの?」
春翔くんはそういって口元に両手を当ててニヤニヤと笑った。
「春翔……。黙れ」
「あ、図星!? 冬翔にも好きな人できたんだ!? ねぇ、誰なのっ!?」
「〜〜っ、ほら桃花いくぞ!!」
冬翔くんはそういって桃花の手を引っ張って走っていった。
「ねぇ、あれって……」
「うん……」
もしかして冬翔くんの好きな人って……桃花!?
私は授業中、冬翔くんにメモ帳に【冬翔くんの好きな人って誰?】と書いて渡した。冬翔くんは舌打ちしたあと、メモ帳になにかを書いて渡してきた。……【教えねぇ。あいつらにどうせいうんだろ】と乱筆で書かれていた。【大丈夫、2人だけの秘密にするから!!】と書いた。
「チッ……。ちょっと保健室いってくる」
そういって冬翔くんは先生に許可を得て教室を出た。
「ありゃりゃ。冬翔怒っちゃったねぇ……」
春翔くんは苦笑いをしてそういった。
「冬翔、なにかイラついてたりするとすぐに保健室に仮病使っていくから……」
「そうなんだ……でも、絶対桃花のこと好きだよね〜」
「うん、家でずっと桃花とメールしてるし、たまに笑ってるし」
桃花は……?桃花は冬翔くんが桃花のことが好きってこと、知ってるのかな……。私は昼休みに桃花と屋上へいった。
「なんか懐かしいね……昨日のことなのに」
桃花は屋上をぐるりと見渡してそういった。
「ねぇ桃花。まだ春翔くんにフラれたことショック……だよね」
「うん、……ちょっとだけね」
そういって桃花は笑った。
「まあ……まだ高校生だもの、出会いはまだ沢山くるよね」
「うん。琉奈はさ、春翔と付き合って何したい? ……やっぱりデートとか?」
そういえば……考えてなかったな、そんなこと。
「桃花は? 桃花は付き合ったら、なにがしたい?」
「私は……好きな人とずっと一緒にいたいな」
「……そっか。……あれ?」
「えっ? なに?」
私は視線を感じて振り返った。だけどそこには誰もいない。
「なんかさっき、……誰かいたような……」
私達は屋上を出て階段を降りていると、壁に背中をつけている春翔くんがいた。
「春翔……?」
「あはは……バレちゃったか」
春翔くんは首の後ろを掻いて笑った。
「桃花、昨日僕が振ったことショックで落ち込んでるのかなーって思って様子見にきたんだけど……」
「……春翔――……っ」
隣にいる桃花は、突然泣き出した。
「春翔っ……心配してくれてたの……?」
「うん! 明るくないと桃花らしくないじゃん! ほら、涙ふいて!」
そういって桃花に春翔くんはポケットからハンカチを出して、桃花に差し出した。
「ありが……とう……。春翔……これからもずっと友達でいてくれる……?」
「うんっ、もちろん!」
「春翔……、本当にありがとう……!」
春翔くん、本当に誰にでも優しいな……。桃花もずっと友達でいられてよかったね……!
〜冬翔side〜
俺は教室に戻って早退する準備をして学校を出た。
「つーか、何なんだよアイツ……」
やけに青空は聞き出そうとはしてくるし、春翔はひやかすし、桃花は……今日は1回も話していない。……もしかしてこの前俺がしたことが原因か?俺は公園のベンチに座り、本を読んで春翔が帰る時間を待った。家の鍵はいつも春翔が管理しているから待たなければならない。すると、俺の前に誰かがきた。
「……冬翔? なにしてんの、こんなところで。……あっ、もしかしてまた早退したの?」
この声……。なんでだ?なんで……いるんだよ。
「……桃花……」
桃花はクスッと笑い、俺の隣に座った。……というか。
「……なぁ、なんで桃花はここにいるんだ?」
「あー……、私も早退したの。冬翔と同じ仮病で、ね」
「ふーん。桃花が仮病使うなんて珍しいな」
「まぁね。……冬翔と話したいこと、沢山あるし。てか、やっぱりここにいたんだね。ここ好きなの?」
「あぁ。日陰が沢山あるから本も読みやすいし。……それで、話したいことってなんだ?」
俺は本にしおりを挟み、鞄にしまった。春翔が帰ってくるまで、あと3時間くらいはある。
「昨日……私に『好き』っていってたじゃない? あれって……」
やっぱり気にしていたのか。もちろん本音だ。でも今、桃花にまた『好きだ』といっても断られるだろう。
「あー、あれか。……嘘だよ。桃花を慰めるための」
「え……? 嘘なの……?」
桃花の鞄を持っている手には、とても力が入っている。怒ってるよな……。
「――バカッ!!」
「いってぇ……。おい待てよ、……桃花!!」
桃花は持っていた鞄で俺の顔面を殴り、公園を出ていった。……桃花……なんでそんなに怒ってんだ?桃花が好きな人は春翔のはず……。なぜだろう。
そうやって考え続けていたら、春翔が公園の前を通った。……もうこんなに時間が経っていたのか。俺は鞄を持って春翔に声をかけた。
「あっ、冬翔! ごめん、鍵渡すの忘れてたね」
春翔はそういって頭を掻いていた。
「……なぁ春翔。ちょっと相談したいことが――」
「うん、いいよ! なんでも相談して!!」
反応はえーな……。
「実はさっき、桃花と会ってさ……」
俺は桃花とあったことを話した。春翔は真剣に話を聞いてくれている。初めてだよな、春翔に相談するのは。
「そんな……桃花にそんなこといっちゃったの!? そりゃあ怒るよ、『好きだ』っていわれて、もし桃花が冬翔のことを好きだとしたら相当傷ついてるよね……」
「だけど……桃花が好きなのは春翔だろ?」
「実はあのあと桃花からメールがきてさ、『私が好きなのは春翔じゃないの』って」
「……は? それって、青空に勇気を持たせるために……? そうだとしても桃花、泣いてたし……」
「うん、そうなんだけどフラれたショックで泣いちゃったらしい……」
意味がわからない……。2人で話していると、いつの間にか家についていた。
「……あとで桃花に謝らないとな……」
「じゃあ僕が桃花に電話しておくよ。……たぶん冬翔が電話かけても、すぐ切られると思うし」
「だよな。……よろしくな、春翔」
そういって俺は自分の部屋に入って着替えた。……もし俺があの時『あぁそうだよ。本気だ』といっていたら?桃花はどう思っていたのだろうか……。
「クソッ……、なんかもうイライラして落ち着かねー!!」
そういって俺は近くにあったものを蹴った。
「!! ……いてぇ」
俺が今蹴ったのは自分の机の脚だった。
〜桃花side〜
もう……なんなのよ!!昨日の冬翔の告白は嘘だったの!?でも……だったらなんで抱きしめたりなんかしたの……?私の勘違い?……冬翔最低……!ベッドに潜って親に知られないように泣いていると、手に持っていた携帯が震えた。
「もしもし、桃花です……」
『あっ、桃花! 今ちょっと話せる?』
「うん。春翔どうしたの?琉奈となにか……」
『そうじゃなくて、……冬翔のこと』
「……冬翔のこと?」
『うん。冬翔から聞いたよ、桃花……ごめんね、傷ついたよね? 嘘だなんていわれて』
「……うん。私、そのあと冬翔の顔面を鞄で殴っちゃって……。痛かったかなぁ……?」
『大丈夫だよ、冬翔怒ってないし! ……それで桃花、明日冬翔と仲直りする?』
「したい……けど、許してくれるかなぁ?」
『うん! 冬翔も謝りたいっていってたよ!!』
「……そっか。春翔、私頑張るね!」
『うん、頑張って! ……あっ、桃花ちょっとまだ切らないで?』
「? なに?」
『あのさ、桃花は……冬翔のこと、好きなの? 異性として』
「!! えっと……うん、好きだよ」
『そっか♪ 安心して、冬翔達にいわないから! じゃあまたね!』
「……明日は頑張らなきゃ……」
私は携帯を枕元に置いて寝た。次の日の休み時間。私は教室を出ようとした冬翔に話しかけた。
「――あっ、冬翔……!!」
「! ……桃花?」
「あの……、ちょっときて!」
私は冬翔の腕を掴んで、階段の踊り場にいった。
「……冬翔昨日はごめんね、鞄で顔面殴っちゃって……」
「俺こそごめんな。……嘘とかいって」
冬翔は視線が右に左に動いている。……いつも素直じゃない冬翔が謝ってくるなんて、なんか不思議だな……。
「……ふふっ」
「? ……なに笑ってんだよ」
「なんでもなーい♪」
私はそういって教室に戻った。