伊藤亜莉沙(いとう ありさ)、17歳。


毎朝誰よりも早く登校して、机の上に散らかったものを処分する。


もはや日課になってしまっていた。


机に書かれた“死ね”“うざい”…………
そんな汚い言葉を消すのも、それを見て呆れる日々も、悲しい事に当たり前になってしまっていた。


――ガラッ


「っ!?」


突然、勢いよく教室のドアが開けられた。


「うわぁ……朝から亜莉沙見るとか、マジ最悪」


そう吐き捨てて、自分の席に乱暴に荷物を置いた元親友の小林美海(こばやし みう)。


親友だって言ったくせに、あっさりと裏切るんだね。


美海にとって、あたしなんてどうでもいい存在だったんだね。


美海の背中に語りかけるけどきこえるはずもない。