昔人生経験だとかって、偉い人に支えていたことがあったらしく、そこの娘さんなんだって。



「由乃(よしの)と言って気の強い女だったな」

「由乃さん…」

「初対面で惚れたのはあっち。俺は主の娘程度の感情」

「うん…」

「体が弱くて、でも気が強くて。医者が来る日、逃げるように木の上に登ってたんだ」



使用人達で探し回り、由乃さんの気配を辿って見つけたのは大河さん。



木登りもできるほど健康だから、医者はいらないと。



「まぁ、登って降りられなくなっただけで」

「すごいお嬢様だね…」

「やることは派手だったな…」



それを大河さんが助けた。



そこからことあるごとにかくれんぼをしていて、でも見つけるのは大河さんで。



「見つからないと怒られるのは俺たちだから、仕方なく探してるふりして、偶然を装って見つけてた。で、ある日主から結婚の話が出た」



大河さんにもらってほしいと。



結婚なんてこちらの世界だけなら重要じゃないと、大河さんもその話を受けて。