このままこの3人に捕まってたら約束に遅れると思い、この場を振り切ろうと足を動かした時だった。



「あ……っ!」



足が何かに引っ掛かり、体が前のめりに倒れた。



それと同時に手にしていた手提げバッグはあたしの手から離れ。



綺麗な放物線を描いて。



――カツン、コン、コン、カシャン。



そんな音をさせながら、階下まで落ちて行った。



「あら~、ごめんなさい。

ちょっと足が引っ掛かったみたいで」



見事にその場に膝をついて転んだあたしに落ちてきた憐れみを含んだ声。



見上げれば見下ろしてくる3人と目が合った。



今の絶対わざとだ。



あたしが睨むと、用が済んだのかクスクスと笑いながら逃げて行った。



「いったー……。あ、お弁当!」



擦りむいた膝のことは気にせず、すぐ立ち上がると階下に落ちて行ったお弁当を拾いに行く。



慌てて中身を確認すると、酷い有様になっていた。