「あたし急いでるから退いてくれるかな」



なるべく怒らせないように、穏便に言ったつもりだったのに。




「はぁ? 何その言い方。

あたしが邪魔だって言いたいわけ?」



ハッキリ言ってそうなんですけどね。



邪魔だとは言えず、曖昧に笑って首を傾げてみる。




「あ~、そういえば昨日……叶真がお弁当作ってきてみたいなこと言ってたの思い出した。

その手に持ってるのって、もしかしてお弁当なの?」



「マジで!? あれ本気にして作ってくるとかあり得なーい。

名前だけの彼女のくせして、調子乗りすぎっしょ」



名前だけの彼女ってことくらい、あたしがよくわかってるよ。



それに、あたしが作ってこようとどうしようとあんた達に関係ない話じゃない。